「人が死ぬときに後悔する34のリスト」川嶋 朗
この本の著者も統合医療を推進する医者であり、多くの著書がある。実際に病気になって死を迎えるにあたり後悔する項目が述べてあるのだが、病気に対する考え方や治療に対する考え方も含めて、この本の内容には全面的に賛成である。
病気は先天的なものでない限りは、基本的には自分で作っている。その原因を自分で考えて自分で取り除かなければ、いわゆる対処療法に終始してしまい本当の治療にはならない。西洋医学も含めて、東洋医学や心理学など、人間を全体として治療していく考え方や、様々な治療方法から本人が本当に納得して治療を選択できる体制が必要であると思う。
日本人は、病気の治療を医者や薬に依存する人が多く。自分がその治療の主体であることを忘れている人が多い。医者や薬が何とかしてくれるもの、医者や薬で何とかなるものだと思っている。そこには自分の生活習慣や心の傾向性、食生活なども含めた観点からの反省がないのである。
日本の薬品依存度は世界の中でダントツに高い。また医療費がうなぎ上りになるのも、結局は日本人が自分の力を信じることができず、医療や薬に依存しているからなのである。人間の体は絶えず健全な状態を保つために働いているのに、それを自ら阻害しているのが、人間の姿である。
日本人の医療依存を少なくしながら、病気にならない生活を心がけ、自分で自分の健康を管理することが必要である。
また、死に対する考え方も、変えなければならないだろう。この著書ではクオリティ オブ デス(QOD)という考え方が提唱されている。「死の質」を考えるということだ。どのように死にたいかということを自分でしっかりと決めておくことが必要である。死というものをタブー視して、それについて考えない、議論しないということも多い。しかし、誰もが知っているように誰もがいつかは死ぬのである。若い時代から、どのように死にたいかということは考えておかなければならない重要なテーマだ。死と向き合うことの重要性を教えられる。
西洋医療に依存しない、しかし否定もしない。必要に応じて様々な治療の仕方を選択して実行していく。このような多角的なバランスの取れた考え方ができれば、間違った医療による犠牲者はもっと減るだろうと思われる。
この本は医療の本ではあるが、ある種の人生論として読むこともできるだろう。医療の世界を志す若者だけでなく、全ての若者に、死というものから人生を逆算して考える考え方を学んでほしい。
また、若者の自殺について、対策を打つべき場所は「家庭」である、という提言がある。いじめなどが自殺の要因、原因であることは多いかもしれないが、その時に逃げ場や相談場所として最も機能しなければならないのは家庭である、ということだ。事件などがあっても、それを吸収できる場所(家庭)があれば、自殺の多くは防ぐことができる、という意見には私も賛成だ。自殺が起こると、学校や教師、教育委員会などが批判の矢面に立たされるが、学校の問題とは別に、家庭の在り方については考えていく必要があるだろう。
著者は多くの本を書いているから、興味のあるものからでも読んでみるといいだろう。そして自分の周囲の人にも、病気や医療や死について考えてもらえるように、働きかけることができれば、社会にはもっと幸せな人が増えるのではないだろうか。
(帰省先の町の古本屋にて100円で購入)
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